私にとって初めて「私の仕事」といえる仕事があがった。
今日やっとあがりが手元にきて、社長さんと、今まで制作してきたチームの2人と4人
でそれを眺めていて、
なんというか、もう、これが「胸がいっぱい」という事なんだと思った。
いいものができたと思う。売れて欲しい、本当に。評価されて欲しいと思う。
嬉しい事に、発売告知で一度だけうった小さな広告に問い合わせの電話がきているそうなので、これから発売されてから、手に取ってもらって喜んでもらいたい。
お金が動くのと同時に人が動くのが切にわかる仕事だけど、会った事もない人が、私の作った物、みんなで考えた事のために動いてくれて、何万個もの内職作業を丁寧にしてくれる方々がいて、製品として仕上がったこの不思議な感覚。
普段の仕事では一年かけて作る事なんてまずありえない。
私がこれからどんな仕事をするか、全く自分でわからない現在だけれど、きっとこういう仕事のやり方をする事はもう二度とないと思う。
何より、仕事というのは、完成して手を離れたら、もう二度とそのライブ感を味わう事ができない。
私がその仕事に対してデザイナーでいられる時間というのは、限りなく少ない時間で、今こうして胸がいっぱいになったこの感動というのは、今この時にしか味わえず、多分来週にはもう自分の手から離れてしまう事なんだ。
学生の時は手を動かしていると自分には輝かしい未来が待っているように思えていたけれど、今私が大事に感じているのはそういう事じゃない。
欲があったし、自分を過信して現状に目隠しするような欲だった。
見えないものを見る力と、見えるものを信じる力を大事な人たちから教わって、そうやって進んでいくことに価値を感じる。
大きな希望とか完璧な自分らしさとかではなく、そういう高級なものではなく、もっと手元で暖かく、手のひらにのせているとそれだけで全体が温まるような、そんなシンプルでなめらかでで純朴な何かが、かけがえのないもの。
人生は長くて、私が今の私でいる時間はきっと限られているけど、こういう事こそ、絶対に手放しちゃいけない、守るべき何かな気がする。
これからどうなっても、こういう気持ちを一生忘れないでいられる自分でいたいと思う。
いい一日だった。
シンプルでなめらかで純朴な、かけがえのないもの。